最新技術・研究 その3 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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水産・観賞魚業界の技術は日々、進歩しています。 昔ながらの飼育法にとらわれず、 新たな試みをご紹介いたします。 |
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連載 第四回 2004年2月9日 掲載 |
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土佐錦愛好家のお客様より、イソジンの添加で イトミミズの鮮度が維持できるらしい、との噂話を頂き、 早速試してみました。 水温は10度前後で、濃度を五段階に分けて試験を開始。 24時間後でもイソジンの色が残っている試験槽は 斃死が始まり、すぐに無色になっている所に変化は 見られませんでした。 次に水温を15〜20度で試験をすると、すぐに無色に なっている所も斃死したため、前回は水温が低いので 長持ちしだだけのようです。 結果から、表面のウイルスの減少には有効かも しれませんが、イソジンがイトミミズの雑菌を殺して 鮮度を維持するという噂の信憑性は、さらに試験を 重ねなければならないでしょう。 |
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写真は撮影していませんでしたが、メチレンブルーについても試験してみました。 菌について過敏になられている方は、イトミミズの消毒にメチレンブルーを使用している そうです。上記写真の様に、プラケースに入れてメチレンブルー規定量と、 規定量の1/2を試験開始。 両方ともイトミミズの着色が目立ち、2〜3日後には斃死が確認できます。 これだけ着色されたイトミミズを与えるのは抵抗がありますし、着色する前に 取り出したとしても、殺菌の効果があるのか疑問です。 また、メチレンブルーはカビ類には有効ですが、細菌・ウイルスには効果がありません。 メチレンブルーでの殺菌は、もう少し工夫が必要と思います。 土佐錦愛好家のお客様の助言では、土佐錦に与えている範囲内では イトミミズから病気をもらったことがないということです。 取引先の熱帯魚業者からは、熱帯魚の特定の品種では白カビ類が体表に 見られやすいとの情報があります。 私の意見として、イトミミズを生きたまま無菌にすることは無理と思います。 汚泥を好むイトミミズは、体内に様々な菌と共生することで成り立っています。 その中には好ましくない病原体も含まれます。金魚に与える範囲内なら、 特に菌の存在が気になることはありませんが、熱帯魚は品種により 注意することをおすすめします。 ある文献によると、イトミミズと養殖魚が共存するような環境では、斃死を伴なう病気が イトミミズを介して変異し、蔓延するとの記載がありました。しかし、言い換えれば、 常にイトミミズが池底で繁殖できるほど劣悪な環境ともいえます。環境が悪ければ病原菌の 繁殖を促進し、養殖魚が病気に犯されてもおかしくはありません。 金魚飼育では底砂を敷くことはありません。イトミミズを投入すれば逃げる所がなく、 マリモ状となります。そうなれば金魚に見つかり、すべて食べられます。 熱帯魚はイトミミズを与えるような品種では、ほとんどが底砂が敷かれているようです。 多少なりとも砂に逃げ隠れ、汚泥の豊富な環境でしばらくは棲息しているのでしょう。 一時期、イトミミズと熱帯魚が共存することとなり、水質が悪化しやすい環境なら、 イトミミズを介して病原菌が大量繁殖するのかもしれません。私の憶測ですが。 生きたまま無菌で与えると言うのは、現時点では手軽に行なえる技術はありません。 この連載では、金魚に与えるためのイトミミズの蓄養を目標としています。 殺菌方法については、早急に確立させる必要性がありませんので、 今後の課題ということで先送りといたします。 |
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何を食べているのかがわからないので、とりあえずイトミミズに金魚の餌を与えてみました。 左は花咲、右は初草です。マリモ状の上に乗せて観察してみましたが、明らかに嫌がっていました。 底の養分を吸い出し、上へ排泄する生態から、食べ物が上に乗ることはないので、合わなかったようです。 しかし、下に落ち、水でふやけた飼料は、翌日もそのままとなって残っていました。 イトミミズは非常に細い生き物です。その体内を通る食べ物となると、かなり微細な物を与えなければなりません。 フィッシュボンSSも与えてみましたが、少しは食べているようですが、最適な飼料とまではいきませんでした。 飼料の問題点が解決すれば、養殖の道が開けます。養殖とまでいかなくても、蓄養で良い状態を長期間、 維持することができるでしょう。継続して研究を続けていきます。 |
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イトミミズは大きく固まると、中が酸欠になり、 死ぬと言われ続けていました。 左の写真は当社の蓄養池(1800×900×350H)です。 直径50センチを越えるマリモ状になります。 掃除の後ならすべてが1つの塊になります。 解すだけで状態がよければ、これほど簡単なことは ありません。すでに蓄養の技術が確立されているはずです。 しかし、未だに蓄養が確立されていないのは、マリモ状に なるから死ぬ、という誤った定説、観点があったからでは ないでしょうか。生態について重要な点を多く見逃す 結果となっています。 |
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マリモ状の断面 |
マリモ状の底面 |
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マリモ状を近くで観察してみます。 細かな個体は上部、太い個体は下部へと住み分けているのが確認できます。 なぜ、太さの違いがあるのかまでは、文献等の資料がないためわかりませんでした。 イトミミズは泥があれば、下から上へ循環する仕組みになっています。 泥中の有機物を吸い取り、上へ吐き出します。 泥がなければその動作ができません。糞や斃死が発生すれば、マリモ状の 下へ固める動きになります。その動作が下部から斃死し始めていると 錯覚させているのでしょう。 |
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もっとも縮んだ状態のイトミミズ・1キロです。 安静にすると倍近い大きさに広がります。 水温・採集地域・水質により、固まり方が異なります。 ソフトボールと同じ、まん丸の大きさになったり、 厚み20ミリほどの薄さになったりします。 井戸水の掛け流しにすると、厚みが薄くなり やすいようです。 持ち上げた時に、すべてがつながって 座布団を捲るような状態は調子が良い証拠です。 また、特定の水質になると、太いイトミミズがばらけて、 四方八方へ、はいずり回る行動が確認できました。 原因は突き止められませんでしたが、イトミミズという 生き物の不思議さを再認識させられます。 |
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連載 第五回 2009年10月2日より掲載 掲載内容の無断転用・転記を禁止します。 |
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